無垢材(むくざい)と集成材(しゅうせいざい)。
マイホームを建てようとしてる人なら聞いたことがありますよね。
なんとなく、思ってませんか?
- 無垢材→天然素材だしすごくいい
- 集成材→なんかよくないやつ
我が家が建てたハウスメーカーは柱や土台、フローリングもすべて集成材です。
私もちょっとは気にすることがありましたよ。
「集成材で大丈夫なのかな?」って。
だけど、集成材でも問題ありません。
- 簡単に接着剤が剥がれてバラバラになることなんてないし。
- 接着剤が原因で不健康になることも少ない。
「集成材は危なくて、無垢材ならぜんぶ安全」、なんて大げさに話す人や会社のことは信用しないほうがいいかもしれませんよ。
集成材と無垢材ってなに?
- 集成材→いくつかの小さい木材を接着剤で一つにくっつけたもの
- 無垢材→一本の木からくり抜いた接着剤でくっつけてないもの
集成材と無垢材のざっくりしたちがいは、接着剤で貼り合わせてるかどうかです。
接着剤が使われてるから、集成材は悪く言われることが多いんですよ。
接着剤は短期間で剥がれたりしない
「集成材の接着剤は時間とともに弱くなって最後はバラバラになる。」
集成材に批判的な人が必ず言うことです。
でも、集成材の接着剤は数年で使えなくなるようなことなんてありません。
ちゃんと何年も使えるか検査してるんですよ。
浸せきはく離試験は、集成材を水中に浸せきし、水を吸わせた後、乾燥を行い木材中への水の出入りによる膨張、収縮の動きに接着強さが勝るか、この時にぬれているので耐水性能に関しても試されている。
構造用では、試験片を水中に浸せきした状態で減圧、加圧を行い、無理矢理木材中に水を押し込む処理を行い70℃の温度で乾燥させる。
『木材接着の科学』P145から引用
- 水に入れるだけじゃなくて、ムリヤリ集成材の中に水を侵入させる。
- 水が集成材に入ったあとに、高温で急に乾かす。
1と2を繰り返して、接着剤の強さをチェックしてるんです。
ふつうに住んでるだけなら、土台や柱に使ってる集成材が濡れることなんてありません。
表面が濡れるだけじゃなくて、集成材内部に水が浸入することはもっとありません。
集成材の接着剤の強さは、ふつうの生活では起きないような過酷な条件でチェックしてます。
「接着剤が弱くなってバラバラになるかも」なんて、不安になる必要はないんです。
(建てた家に100年や200年も住むことがあるなら、心配したほうがいいですけどね。)
シックハウス症候群の原因は集成材だけじゃない
集成材はいくつかの木を接着剤でくっつけて、一つの木材にしています。
「接着剤=科学物質」なので、「集成材は健康に悪い」ってイメージが強いですよね。
集成材などに含まれる科学物質を吸いすぎると、シックハウス症候群というアレルギーになる場合があります。
一度シックハウス症候群になってしまうと、家に住むのも辛くなるので大変な病気です。
- シックハウス症候群を引き起こす科学物質が接着剤に含まれてるから、集成材=健康に悪い。
- 接着剤を使ってない無垢材=健康にいい。
って思われがちなんです。
だけど、実は無垢材にも科学物質は含まれてます。
木は成長する時に、自分の体を害虫から守るためにいろいろな科学物質を作り出します。天然の科学物質の中には、今問題になっているホルムアルデヒドやアセトアルデヒドなどを含んだ、TVOC(揮発性有機化合物)が多種にわたって木材から揮発しています。
ヒノキやヒバ、一部のマツなどの油分が多い素材は、何年にも渡りテルペン系の有機性化合物を出し続けます。
『アレルギーの人の家造り』P95、P96から引用
無垢材も集成材の接着剤のような化学物質を含んでるんです。
無垢材が原因でシックハウス症候群になる人もいるんですよ。
シックハウス症候群を警戒するなら、無垢材でもちゃんと選ばなきゃいけません。
でも、花粉症と一緒でみんながシックハウス症候群になるわけじゃない。
必要以上に警戒しすぎて「使う木材が集成材だとシックハウス症候群になるのかな?」って不安になりすぎなくてもいいんです。
あなたがいま健康なら、集成材でも問題ないと思うんです。
家に使われる木材よりも、家具のほうがシックハウスの原因になる化学物質をものすごく多く含んでる可能性があります。
家や家具の他にも、日用品でシックハウス症候群になることだってあります。
建材だけ「安全な物に変更すれば」シックハウス症候群や化学物質過敏症にかからない、と考えている人も多いように感じます。
『アレルギーの人の家造り』P47から引用
日頃の生活から注意するつもりがないなら、集成材でも無垢材でも変わりませんよ。
家を建てるには集成材以外にも、たくさんの接着剤が使われてますし。
- 24時間換気は絶対に止めない。
- 天気がいいときは窓を開けて換気する。
生活に気をつければ集成材でもいいと我が家は思ってます。
なるかどうかわからないシックハウス症候群を心配するよりも、無垢材を選んで生活の手間が増えるがイヤだったんですよ。
(化学物質に対してアレルギーがある人は、しっかり考えて選びましょう。でも、無垢材=安心じゃなくて、なにがいいかしっかり検討してくださいね。)
家づくりとアレルギーのことが気になるなら、『アレルギーの人の家造り』を読んでみるのがおススメです。
メンテナンスが簡単で生活がラクになる集成材
集成材の魅力は日頃のメンテナンスが簡単になること。
無垢材は湿気の影響で大きくなったり、縮んだりします。
- 無垢材のフローリングは大きさが変わるので、スキマができたり割れることもあります。
- 無垢材のトビラは閉まらなくなることだってあります。
フローリングにスキマができたらゴミがたまるし、トビラが閉まらなくなったら調整しなきゃいけません。
無垢材は季節に応じたメンテナンスが必須なんですよ。
毎日の忙しい生活の中で、仕事と家事と子どもの相手をしながらお家をメンテナンスする自信がありますか?
集成材なら接着剤でくっつけてる木材なので、湿気で形が変わったりしません。
季節ごとのメンテナンスなんていらないんです。
我が家は仕事と家事、子どものことに加えて、お家のメンテナンスまでやる自信がないので集成材にしました。
メンテナンスする時間があるなら、掃除したいですしね。
性能が安定してる集成材
集成材に使われる木は人工物。
接着剤の貼り合わせは工場で行います。
集成材は工場で作るから、接着剤の強さなどは必ずチェックされてます。
だけど、無垢材は天然もの。
ひとつひとつを実験するわけにもいきません。
無垢材にも性能の基準(JAS規格)はあるんですけど、基準を確かめてる無垢材は少ないんです。
木材の性能を表す基準のひとつに、木材にどれだけ水分が含まれてるか(含水率)があります。
集成材でも無垢材でも乾燥させるのが大事。
集成材は貼り付ける前の木材を機械で乾燥させて、木に含まれる水の量を少なくしてから作ります。
集成材に含まれる水分量は、クリアしなきゃいけない基準があります。
無垢材も使う前に乾燥させますが、水分量をどこまで下げなきゃいけないって基準(JAS規格)を必ずクリアする必要はないんです。
乾燥が不十分だと木の丈夫さは下がるし、気が割れたり膨らんだりする問題が出てきます。
性能基準(JAS規格)をチェックしてる無垢材なら含まれる水の量も問題ありません。
だけど、性能基準(JAS規格)をチェックしてる無垢材は少ないんです。
工場で必ず性能をチェックしてる集成材の方が、性能が安定してるんですよ。
集成材や無垢材の不安を煽る言葉はセールストーク
集成材も無垢材も、それぞれメリットとデメリットがあります。
自分たちのこだわりで決める必要があります。
- 生活のしやすさを重視するか?
- 無垢材のもつナチュラルな感じを最優先するか?
- 性能や強度が試験で証明されてる集成材の安心感に魅力を感じるのか?
集成材と無垢材のどちらを選んだら正解、どちらを選んだら不正解じゃありません。
ハウスメーカーは自分の会社の良さをアピールしたいので、大げさに話すことが多いです。
「集成材は体に悪い」
「集成材で家を建てると30年で家が壊れる」
すべてセールストークです。
無垢材と集成材はそれぞれいいところ・悪いところがあります。
ハウスメーカーのセールストークに踊らされたり、不安になったりしないで選びましょう。
さいごに
我が家はフローリングを無垢材にしなくてホントに良かったと思ってます。
ルンバ対応のフローリングなので、毎日ルンバで掃除できるし。
(おかげで、自分で掃除機をかけることはほとんどなくなりました。)
子どもがお漏らししてもサッと掃除できるし。
ささくれやひび割れもないから、息子がハイハイしても安心だし。
やっぱり、なにを選ぶのがいいかって住む人によってちがうんです。
あなたも、自分の生活にあった家づくりができるといいですね。
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